久しぶりに書きたいことができたので書いておこうと思う。お花見の桜も、連日の花散らしの雨でだいぶ落ちてしまったように思えるけれども、まだ今週いっぱいくらいは、東京の桜はもつのだろうか? さて、春の旅行シーズン、外国人の宿泊客が多いうちの宿は、お花見に行きたい外国人客で溢れた。あるドイツ人のゲストは、なんと千鳥ヶ淵から上野まで歩いてお花見をはしごしたそうだが、本当に疲れた顔をして帰ってきて、「暗いのにライトがなかったし、人がすごくて、夜桜が撮影できなかったんだ。でも、ちょっと寝たら回復すると思うから、夜桜を撮りにまたCentral Tokyoへ行ってみようと思う」と、ため息をついた。
その日は、満開宣言がでてから初めての金曜日。きっと夜桜を撮りにいっても、また人の波に押されて落ち着いて撮影できないのは容易に想像がついた。飲んで騒ぎにいくならまだしも、三脚立てて・・・とか、土台無理だ。1時間ほど寝て、部屋をでてきた彼に、もし桜だけを撮りたいのなら、と、宿から徒歩15分程の公園にある立派な桜の木を教えてあげた。だがしかし、彼はそこに辿りつけずに帰ってきた。地図も渡してきちんと説明したつもりなのに、別の場所へ行った彼。今度は私のほうが余計なこと言ったかなぁ、と反省する番。「ごめんなさいね。ちゃんと教えてあげればよかったね」と謝ると「いや、別に有名な場所じゃないから、いいや」と・・・。
このゲストが特殊なのかな? と思うけど、実はそうでもない。あるアメリカ人のゲストは、築地のマグロの競りについて、チェックイン手続きをする前に、まくし立てるように聞いてきた。「申し訳ないけれど、うちの宿から築地には、始発でいっても競りの時間に間に合わない」と言うと、残念そうな顔をする。ならば・・・と、「うちから始発で行って競りに間に合う場所に、三崎口があるよ。ここは日本でも有数のマグロの水揚げ漁港だよ」と、教えてあげるが、まったく聞く耳をもたない。結局彼は、六本木でナイトシネマを見て時間を潰し、深夜3時に築地に行ったそうだが、すでに深夜2時から待っている人たちで整理券ももらえず、始発で宿に帰ってきた。
何が言いたいのか、と言うと、有名な場所じゃないと、目的を達成する意味がないと頑なに思いこんでいる観光局がいかに多いのか、ということだ。
最初の桜、次のまぐろにしても、場所さえこだわらなければ、わざわざ人混みにもまれたり、無駄足を踏んだりせず、楽に目標を達成できる。しかも、それは他の観光客とは違うその場所でしか体験できなかったり、知らなかったりする特別な体験なのに・・・と、と思うと、とっても残念に思う。
人の勝手といえばそれまでだけれども、決して安くないお金で航空券を買い、節約するためにゲストハウスに泊まったらのならば、土地の人間の話を、少しでもいい、耳を傾けてくれたらいいのに・・・と思う。
それくらい私の説得力と英語力がお粗末と言われればそれまでだけれども、日本だろうと、海外だろうと、わざわざ混んでいる時に混んでるいる所に行くことはまったくしない私には、どうしても理解できない、最近の多数派のゲストたちなのである。
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