6月１日になりました。いよいよ閉店の時間が近づいてくると、がらにもなく万感の思い（自分がこんな言葉を使おうとは・・・）が込み上げてくるようになりました。
今朝は向かいの羽田小学校の運動会で、朝から賑やかなソーラン節が大太鼓の音とともに流れてきたのですが、チェックアウトされるゲストさんに「ありがとうございました」を言いながら、この「ありがとうございました」も最後になるんだなぁとか、「あ、開業当時は、運動会９月の下旬だったよね。ゲストさんと２人で見にいったっけ」とか・・。いろいろな思いが交差して、ちょっとウルッときてしまいました。

さて、「やめるまで・つづけてみよう・ブログくらい」のこのシリーズ。

本日は、屋号についてです。　328ホステル＆ラウンジの３２８は、住所の３−２−８の数字からとりました。海外のゲストが道に迷っても、誰かに連れてきてもらいやすいように・・と、思ったのが数字にした理由です。また、ゲストさん、ご近所さんともども「サンニーハチ」さんとか「ミツバ」さん「ミツヤ」さんと呼ばれることも多かったですが、正式名称は「サンニッパ」。値段もそれにちなんでドミトリー1ベッド3280円という価格で提供していました。
物価上昇、コロナといろいろな変換がありましたので、さすがにずっとこのお値段で提供する、ということはできなくなって値上げをしましたが、おそらくコロナ禍でもご宿泊いただいたありがたいお客様には、この価格で提供させていただいていたかと思います。

また、屋号についてお聞きいただいた方にしかお伝えしていない3番目の屋号の由来があります。西麻布の交差点に３２８（サンニッパ）というクラブ（踊るほう）がありました。当時としては珍しく30年以上の営業していた超老舗クラブでしたが、おしくも2015年に幕を閉じました。移り変わりの激しい業界の中では、おそらくギネスブック級の場所だったと思います。10代後半から20代、そこまで足繁く通ったわけではありませんが、海外の方、含めいろんな価値観やいろんな人に触れた場所。小さい箱ながら、そこにはいつも世界各国のさまざなバックグラウンドを持つ方がつどい、楽しく談笑したり飲んだり踊ったりしていました。受付で入場リング？　のような紙のバングルをつけてもらえると、いつ戻ってきても自由みたいなおおらかなノリもよかった・・・。とても気持ちのいい場所でした。
そこまで常連ではなかったのに、なぜに？　ではありますが、当時はこのクラブのように人種、年齢関係なく楽しくみんなが過ごせる場所、小さくても長く細く続けられる場所を目指したい、屋号の「サンニッパ（３２８）」を受け継がせていただきたい、と恐れ多くも思っていたわけです。

結果、足元にも及ばす、11年ちょっとで幕引きになるわけですがこの屋号にして本当によかったな、と思います。住所が自分の家と一緒、とわざわざ来てくださった方や「みずは」さんという名前の方が自分の名前だと思ってきた、とおっしゃっていただいたり・・。はてまたヘルパーまでしてもらったサキちゃんは「みつやさん」という俳優さんがお好なだけでご宿泊いただいたご縁・・・。

これから何かお店をはじめられる方、３２８は、中国でも縁起のいい数字だそうです（中国からのゲストの情報）。なにかに利用できそうなら、ぜひ引き継いでください！