ゲストハウス3.0〜旅の終わりとオシの始まり | 328 HOSTEL&LOUNGE
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徒然日記

ゲストハウス3.0〜旅の終わりとオシの始まり

ゲストハウス3.0〜旅の終わりとオシの始まり

ついに! 10月11日からコロナのインバウンド(個人)向け水際対策の撤廃、VISAなし短期滞在の許可が降りることが発表された。ブラボー!!! 我が宿にも、個人旅行と思われる外国人ゲストからの予約がポツポツではあるが入ってくるようになり、(その数の少なさからも)宿をスタートした頃に戻った感があるわけだが、こんなことブログに正直に書くのもなんなんだけれど「さぁ、やるぞ」「夜中に空港から歩いて来い(潮騒調)」といったあの頃の気合いやパワーはもはや無くなっていて、握った拳をどこに置いたらいいのかわからずに、なさけなく宙に浮いた状態がずっと続いている。
8年前の9月26日(はい。つい先日開業記念日を迎えたのでした)とは、気持ちも肉体も全然違っている自分。加えて、ここ数日大手老舗ホステルチェーンの全店閉館のニュースが業界をかけめぐったこともあり「始まりがあれば終わりがある」という現実を、改めて認識させられている今日この頃である。

さて、表題の件。徐々にインバウンドが入ってくるようになると、本来の旅人の宿としてのゲストハウスやホステルは、以前のような賑わいをみせるのだろうか?
もちろん「YES」だと思うし、そうあってほしいという願望もある。とりわけインバウンドにとって、今は空前の円安なのだから、その昔我々日本人が、東南アジアの安宿に長期滞留していたのと同じ状態が、日本で体験できるわけである。うちなんて、NYCの物価で考えたら、ラーメン1杯分の値段と同価格の宿。そりゃ、安く長く無意味に(?)旅行したい旅人がこないわけはないだろう・・。
とまぁ、インバウンドに関しては、今後大幅な円高にふれる奇跡でもおきない限り、ゲストハウスやホステルに来る客層がガラリと変わることはないだろうな、と予測している。

では、国内(日本人)のゲストに関してはどうだろうか? 
日本の個人経営のゲストハウスというのは、他国とはちょっと違う発展をとげていて、まず沖縄あたりから発生した自由きままに生きてる人たちのための安宿があり、その後、京都などで町家を改装したちょっと雰囲気のあるゲストハウスができ(ここまでもまだ知る人ぞ知る人向け)、BPJさんが1店舗目をつくった2011年あたりから認知度が一気にあがり、「旅のための宿」としての利用ではなく「宿に行くための旅」(禅問答みたいだけれど、つまり目的は宿)をする方々が増え、他国とは一線を画す需要からの利用者が増えていったように思う。
な〜〜んて、勝手に分析してるので「ちゃうねんっ」って方がいたら、個人的に連絡ください(笑)。

つまり、国内で頻繁にゲストハウスを利用される方の目的は、お金をそれほどかけないでできるリフレッシュ。リフレッシュのメイン目的は、何のしがらみもない見知らぬ誰かさんと、ちょっとした会話ができること、ではなかったか、と思う。
コロナっていうのは、その一番の利用目的に制限をかけられてしまったわけなので、前出の日本独自に発展したゲストハウスマジョリティー層の足が、一気に遠ざかったしまったのは想像に難くない。で、その層の需要回復というのは、なんとなく騒ぎの終焉が見えてきた現時点でも、すぐには見込めないのではないかな? とインバウンドとは逆パターンで予測している。

というのも、ここ最近うちのゲストハウスに増えてきたのが、一人静かに自分の世界に浸るためにご宿泊してくださる方々。いわゆる「推しカツ」さんたちである。
ある日のうちのゲストさんたち。北九州で推しのでるフェスを見てきた帰りに宿泊された方。還暦を迎えるロックバンドの遠征をおっかけて来た方。福岡で開催される地下アイドルのライブを見にいく方。タイのアイドルのファンミに参加されてきた方。
と、本当はホテルに宿泊されたいのだと思うが、その予算をゲストハウスで節約し、推しに回す消費行動をとられる方々ばかりである。

今月から始まる「全国旅行者支援」。周囲から漏れ聞く話の断片をつないでみると、宿側の負担は大きく、そもそもウチのような安宿にはこれまたメリットがあまりないように感じる。
平日や旅行会社を通したパック旅行のほうが割引率が高いというのも、自由度の高い旅行を好む層や若年層にとっては、あまり魅力に感じないだろう。それならば・・・だ。いっそ、コロナ禍でも移動と消費の意欲が衰えなかった推しカツさんたちに「推しカツ支援」でもしてあげるのはいかがだろうか? 
インバウンドの回復が早期見込めないような地方都市には、事前に「推し」のためにどれくらいの予算を使うのか(宿・グッズ・行った先でのお土産・交通費)算出してもらい、後ほど各自治体に領収書を送って経費精算。うち何割かを負担してくれる、なんてのがあれば、いろんなところに満遍なく経済を回しまくってくれるのではないか? と思う。なんてったって夜行バスで仙台から東京まできて、そこから北九州まで安いチケット探して、LCCで成田から飛んで、帰りは少しでも長く推しのライブを見たいのでナショナルキャリアで羽田に帰ってくるんですから・・・。交通機関だけとっても、風下から風上まで、分け隔てなくお金が回るってものです。
しかも、そんなにしゃべりませんから(?)、飛沫感染気にしている地域の方々も安心して迎えていただけますよ(笑)。

なんつって・・・。

冗談はさておき、旅のための宿から、宿のための旅へ。そして、推しのための宿へ・・・。
コロナ禍を経て(ってまだ終わってないけれど)安宿の需要は、どんどん進化を遂げている。
1泊3千円台から見える世間はとても面白い・・・。だから、まだ続けているのかなぁ??

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