
328をオープンしたのは2014年9月。大田区内で民家を改造したゲストハウスの第1号でした。
いまでこそ「オタク、何屋さんなの?」と聞かれると、「民泊です」と答えるようになりましたが(説明が面倒くさいので・・・)当時は「民泊やってる人」と言われるのが本当に嫌でたまりませんでした。
そもそも大田区が国家戦略特区になって「特区民泊」ができるようになったのが。2016年1月から。
当時は、法整備がされていなかったので、OTAに掲載依頼さえだせば、誰でも民泊ができました。ですので、2014年以前から民泊をやっている人は、もちろんたくさんいました。
いましたけど・・・。
うちの場合は、ひとつの客室を複数の人数でシェアする相部屋タイプなので、一般的な民泊のイメージよりは、シェアハウスに近い形の営業形態です。
しかも、家主居住型。管理者(ほかならぬ私)が、ほぼ24時間在住して、定期的にトイレが綺麗か確認したり、エアコン嫌い、暑い、寒い等の喧嘩トラブルに対応したり、ゲストと一緒にたこ焼きパーティーしたり、ゲームに興じたり・・・と、とまぁ、設備の簡素な小さな民宿のおかみさん業みたいなことを、雨の日も風の日も晴れの日も延々と繰り返し行っていました。
無人の家に大量に押し寄せるインバウンドを宿泊させて、チェックインも非対面。あとは掃除と、ちょっとしたトラブル解決だけをWebで遠隔で・・。「儲かるんすよー、民泊って。おいしい投資ですよ、民泊って・・。」
世間一般の人が民泊に抱くイメージっておそらくそれではないでしょうか?
実際、突然訪ねてきて、「民泊やってんでしょ?いくらくらい儲かるの?」などど、突然不躾な質問をしてくる方もいて、そんな時には、とにかく無、のお地蔵さん状態。
「・・・・・。」
となっていました。
誤解を承知。言葉を選ばないでいえば「民泊、ざけんなよ」
という気持ちでいっぱいだったのです。
自分で選んだ営業形態ですので、今考えると「何怒ってたんだろう」という気持ちもあります。民泊されている全ての方の目が¥マークで構成されてる、なんてもちろん微塵も思いません。
実際私も、コロナ後から一棟貸しにふみきりそのほうが利益率が高いこともわかりました。
しかし、少なくとも2014年の開業当初は、いわゆる「民泊」よりも、私のような家主居住型の「ゲストハウス」「バックパッカーズ」「ホステル」という、一風変わった(お金儲けだけの形態ではない)”簡素な設備の小さな旅館”のほうが多かったし、ある意味ブームになっていたかと思います。
コロナ後から、一気に一棟がしの「民泊」が主流になってしまったのは、少し寂しいな、とも感じていますが、いま、あの頃のゲストさんが挨拶に来てくれたり、「最後に・・・」と宿泊しに来てくださったりすると、ちょっとホロっときてしまいます。実際会って、話して、一緒にお酒を飲んだりご飯を食べたりして私なりに大切に育ててきた空間。
施設はなくなってしまいますが、皆さんの心の中にひっそりと思い出だけ残っていく。
やっぱりいい仕事だったなぁ・・・。やめんのよそうかな、ゲストハウス(大泣き)←うそ。
※写真はNHKの取材に答えているもの。開業当初はよく、新聞やテレビなどにも取り上げていただきました。若いなぁ、私。そして、痩せてたなぁ・・。反省。
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