羽田から考える旅人へのおもてなし | 328 HOSTEL&LOUNGE
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徒然日記

羽田から考える旅人へのおもてなし

羽田から考える旅人へのおもてなし

台風19号から、まもなく一週間を迎えようとしている。いまだ避難所にいる方や、復興作業に追われている方、また、被災地でがんばっていらっしゃるボランティアスタッフの方々の報道を目にすると、一段落した感のある東京ってなんだかなぁ・・・とも思うけれど、実際、東京の町は、もうほとんど何事もなかったかのように動いており、私とて、日々羽田からやってくる旅人を迎え、送り出す、という慌ただしい日常の歯車に、どっぷり埋没してしまっているのが現実だ。
良いか悪いかはここでは記さないとして、今回の台風は、私にとって「宿泊業」に関する認識を変えさせてくれる良いきっかけを与えてくれるものとなった。
ー台風になると羽田は儲かるー、こんなに正直に書いてしまうと、良識ある人々から非難とお叱りを受けると思うけれど、これまでの328にとっての台風は、「さぁ、予約がたくさん入る。忙しくなるぞぉ」というものだった。
最寄りの京浜急行・空港線は、敷設された線路や駅が、高架と地下しかなく、飛来物の撤去作業が必要がない(と私は思っている)。
だからなのか、それとも企業としての災害時の対応基準が違うのか、これまでは、JRや地下鉄が運休しても交通機関が乱れることなく、定刻通り空港へと向かう乗客をピストンで輸送してくれていた。
そんなわけで、交通機関運休の煽りを受けそうな方々からの前のりで、台風時の羽田近辺の宿には、予約が殺到するのである。

うちに宿泊するゲストの方の90%が羽田の前泊・後泊のための1泊利用だけれど、台風の日は特に、普段はホテルを利用している日本人のゲストの方ばかりになる。「ああ、ここがあって本当によかった。こういうところがあるんですねぇ」なんて言われたりして、台風は恐ろしい、というよりもむしろ普段とは違う客層のゲストを迎える、そしてそういう方々にもゲストハウスを知ってもらえる(いいか悪いか賛否両論あると思いますが・・・)ひとつの機会、とすら捉えていた部分もあった。あと、実際に、満室になるので、営業的にも嬉しい悲鳴だった。

これまでは・・・。

それが今回はどうだろう。早い時間にすべての列車(京急も含め)が全面運休。予約のキャンセルと新規の問い合わせで、電話はなりっぱなし。その混乱のさなかにチェックアウトする外国人ツーリストに、迂回の路線を調べて説明しながら、次のチェックインのために猛スピードで掃除。そして強風に備えてのガラスの粉砕防止テープ等の設置etc…。

ワンオペゲストハウスの大惨事極まれり・・・という感じで、本当にパニックになってしまった。

さらに追い打ちをかけるように、午後からは多摩川の氾濫情報。「まさかでしょ?」などとタカをくくっていたら、あれよという間に避難レベル4まで引き上げられた。その時点で、問い合わせをしていた避難所はすでにいっぱいになっており、宿泊ゲストさんを連れて、いつもお世話になっている近隣のカフェhaccoさんの持つ民泊物件の3階へ一時避難させてもらうことした。
雨風のピークが過ぎて、宿に帰ってくると、水の吹き込みも一切なしのピンピン状態。「ああ、焦って避難しなくてもよかったかもね〜」と、思わないわけでもなかったけれど・・・。

しかし・・・、だ。「営業しなきゃよかった・・・」。本当に心底そう思った。

極端かもしれないが、事前にある程度、上陸日程がわかる台風であれば、最初から宿を開けない、という選択肢もあるのではないか・・・。また、すでに入っている予約も丁寧にご説明すればキャンセルしていただけるのではないか、と・・・。
色々と調べてみると、沖縄などの離島の宿泊施設では、台風時はそもそも予約をお断りすることもあるらしいことが分かった・・・。
宿泊施設は避難所ではない。人の命に関わることに、自分がどれだけの責任を持って臨めるのか、また、万が一の災害リスクを冒してでも宿泊してもらうべきなのか・・・。こんな特殊な場所で、カプセルとも違う中途半端なホステルを運営している私は、いままでの自分の安易な考えを深く反省し、そして今後の運営についてもいろいろと考えを巡らせている。

偶然か必然か、来週「移動と拠点」をテーマにしたトークイベントに参加させてもらう。
トークは、与論島でゲストハウスを運営するオーガーナイザーのタツさんと、避難させていただいた民泊のオーナー和さん、そして、羽田ではじめての簡易宿泊所を作った私。人を受け入れる「拠点」をつくった我々の考える宿泊施設ってなんなのか、改めてお話してみたいと思う。
そして、トークイベントの前には、イタリアで初めての日本人宣教師になった内村牧師から、「聖書が語る旅人へのおもてなし」をテーマにした談話を聞かせていただく。
私は、キリスト教ではないけれど、聖書の中によくでてくる「旅人」というキーワードについて深い知見をお伺いできることを楽しみにしている。

席もまだ若干残っているので、ご興味ある方はぜひ、以下Facebookページをポチッとな、とどうぞ。
これから民泊をやろうかな、と思っている方にも参考になる内容だと思う。

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